ビジネスは「お客さん側に立つ」

「価値と満足」を望んでいても実務が対応していなければ難しい。例えば、住宅メーカーのように「早めに住宅商品を選択」をさせてその商品を中心に進めていく。設計事務所のように「早めに設計契約」をして設計業務をできるだけ任せもらう。

一方、工務店側にも問題があります。競合に勝つために「工法や材料あるいはデザイン」を自社の拘りとして強く主張して建築主を囲い込みをするような進め方です。

ビジネスでは「お客さん側に立つ」と「お客さんのために」には大きな違いがあります。「お客さん側に立つ」はお客さん側に立って考えることですが、「お客さんのために」は企業側の拘りを押し付ける身勝手さがあります。身勝手な拘りがお客さんのためになると思っているから尚更始末が悪いのです。

建築主側に立って、実務を進めていく

建築実務の流れは各社ほぼ似ていますが、「建築主側に立って、実務を進めていく」という観点からみますと「企画書を作成する」実務と「総括する」の実務が重要になります。

理由は「企画書を作成する」ことで「生活・住宅・建築」を整理でき、「総括する」ことで契約前に再確認することができるからです。また、契約後のトラブルを避けることにもなります。

最初は面倒でも、その後の流れが順調に進んでいくことが望ましい。特に、住宅づくりの実務では「後戻り」を避けることです。後戻りは建築主側・工務店側の双方に労力と時間を増やすだけでなく、金銭のトラブルや双方のぎくしゃくした関係になる温床にもなります。「後戻り」を避ける有効な方法は「確認書」を活用することです。

共創関係で共通価値を高めていく

実務は、建築主側と工務店側の「役割業務」を明確にし共創関係で価値創造を高めていく 。

価値創造には「情報と知識」は欠かせません。以前は、工務店側は多くの「情報・知識」を持つことで建築主側より優位な立場にいました。今は多くの「情報・知識」を誰もが得ることができます。

建築主側が得た「情報・知識」を工務店側に提供する。工務店側にも「建築主と一緒に、価値創造をする」という姿勢があれば、より「価値と満足」の高い住宅建築を進めていけます。しかし、工務店側に「拘りやプライド」に執着する企業姿勢が強ければ、難しい。

住宅づくりを共創関係で進めていくには「相性」は大事です。ビジネス世界の相性は「好き嫌いや好感」より「ビジネス姿勢」です。住宅づくりでは「建築主側の謙虚さ、工務店側の住宅づくりの考え方や企業姿勢」が重要になります。